玉川 大又沢本流御秘所沢

去年に引き続き、飯豊連峰の本流遡行第2弾は飯豊山北面の玉川支流大又沢。地図で見ると実に長く、飯豊指折りの本流筋であるがゴーロ歩きが多く、いささか冗長をもてあましてしまった気味もある。台風接近もあって沢中1泊で抜けてしまったが、2泊すればより面白いだろう。

28日夜、荻窪駅に集合し関越を北上、関川道の駅で仮眠。小生は足湯の軒先に寝かせてもらったのだが、これが失敗で深夜になっても時折人が来たり車が止まったりでどうにもならず、あまり寝付けなかった。少し離れた東屋のほうがよいだろう。

29日(土)

飯豊山荘先のゲート前まで車で入り、遊歩道を40分ほど歩いて大又沢出合に着き、入渓。台風が来ているので今日はできるだけ行程を稼ぐことにする。

下部ゴルジュ~へつれるところはへつる

水量はさすがに多いものの、しばらくは平凡なゴーロ歩きであるし、時折現れる淵も巻いたりへつったりして進む。

浸かったり泳いだり

Co510付近の1.5m滝を従えたゴルジュの中の淵は左岸岩場をトラバースするか泳いで突破。その後も平凡な渓相は変わらず、Co560アシナ沢出合に9:20。

10m魚止ノ滝~滝手前の淵から左岸を巻く

至極順調で、このまま何もなかったらなどと思っていると10mの石塔が門番のように聳えるゴルジュ帯となり、淵を泳いで突破、小滝を越すと10m魚止ノ滝。全く直登不能で左岸を巻くが、取付が脆く不安定で悪い。しかし一旦樹林帯に入るとあっさり沢床に降りられた。これ以後魚影無し。

大滝を過ぎてもゴルジュが続く

千本峰沢10:55着。核心部は続き、ゴルジュの中に滝と淵が連続する。7m滝を右岸から巻くと上には5m、7mと連続してかかっているのでそのまま巻き続ける。このゴルジュを巻き終えたところで昼飯。続く2段4mを左岸から、5mを左岸、3mを右岸と巻きの連続で体力を消耗する。Co680出トミズキ沢を過ぎ、大きな釜を持った5m滝は左壁のトラバースを試みるが悪く、少し戻って取り付き、巻く。5m滝上はゴルジュの中の大淵となっている。これから入りミズキ沢までは特に何もない。

ゴルジュを抜けると荒涼としたゴーロとなる

入りミズキ沢出合先の3m斜瀑は右岸スラブ状凹角に空身で取り付き、荷揚げ。さらに6m、5mと右岸を巻き、2条10mCS滝は簡単に左岸を巻く。直登できる滝はほとんどなく、体力勝負だ。いい加減うんざりしてくるころ沢は荒涼としたゴーロとなり、空も暗く墓場のような雰囲気、大岩沢は左岸から広河原の中へ流入してくる。

大岩沢を過ぎたところに幕場を定めた

大岩沢出合を少し過ぎたところに適当な砂地があったので今日はここまで。焚き火を熾して米をたく。今日の夕飯は豚肉とレタスのオイスターソース炒め、里芋とイカの煮物。残念ながら現地での収穫はなし。

30日(日)

本社ノ沢まではゴーロ主体の渓相

何とか空は持っている。台風の来襲は確実と思われるため、今日は本山小屋まで足を伸ばす。しばらくはゴーロとゴーロ滝歩きで、4m滝は右岸CSをショルダー後、荷揚げ。この後しばらくは平凡であり、左岸から本社ノ沢が入る。冗長さに気だるくなる頃、Co1150を過ぎると上部ゴルジュ帯となる。

水流の裏を潜って左壁にトラバース

最初の5m滝は左壁から巻き気味に登り、続く滝もそのまま側壁上をトラバース。一旦沢床に降り、3m滝を空身になって左壁から登る。Co1230付近の7m滝は右壁に取り付くが上部が厳しく、長島さんは滝裏をくぐって左壁から抜けたが水圧厳しく、引きずり落とされそうだったとのこと。小生は上からスリングを垂らしてもらい、ごぼうで抜ける。

左に傾いたゴルジュ 右岸にルートをとる

続く2段3m滝はそれぞれ両岸に分かれて取り付いて登ったが、ここは左岸のほうが容易。2段10m滝は空身になり、左壁を登った後荷揚げ。さらに6mCS、2mと続く。Co1300付近から再びゴルジュに入り、最初の2段6mを左壁から登るとゴルジュの中に滝が続いているのでそのまま側壁トラバース、1箇所トラバースが悪いところにリングボルトがあったのでこれにスリングを掛けてA0する。ゴルジュの中は4m、2m、5m、6mと続いていた。

ゴルジュの側壁から降りると10MCS

一旦沢床に降りると10mCS滝、左岸リッジから巻くと間もなく御秘所沢出合である。出合には何とか寝られそうな台地がある。

穏やかな渓相の御沢・御秘所沢出合

御秘所沢は側壁が立っているものの中はゴーロであり、何箇所か滝はあるがもはや普通の沢登りとなる。雪渓は全くない。

御秘所沢に入ると滝らしい滝は少ない

ひたすら本流筋をいき、最後の草原で景色を楽しみつつ登っていく。僅かに這い松をこぐとCo2000あたりの登山道に飛び出す。

水場付近から登山道にあがって本山小屋に到着

本山小屋はすぐで、先客が3名いた。ガスが沸き、風も強くなってきた。長島シェフのがんもどきと切干大根の煮付け、たっぷりの野菜スープにご飯をおいしくいただいて就寝。

1日(月)

強い風はなかなか衰える気配を見せず、8時半頃小屋を後にする。

大嵓尾根を降ってきた~橋が外されており徒渉した

飯豊山登頂後、ダイグラ尾根に入るが、檜山沢にかかる吊り橋が壊れている現在は通行止めである。道は踏み跡をましにした程度で心細く、藪が道にかぶさっているの、風化した花崗岩でざれているの、ピークの連続でアップダウンが激しいのでかなり消耗する。不安定なトラバースも多く上の方は全く気が休まらない。Co1450あたりで檜山沢の赤岳沢を覗いてみると雪渓がびっしりである。尾根ひとつ隔てただけでこれほど違うものか。最後、まだ若干増水している檜山沢を杖突徒渉して車に戻る。

 

遡行図

山行最終日:2012年10月1日
メンバー:長島(L) 井谷
山域: 飯豊連峰 荒川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
29日:P発(6:55)-大又沢出合(7:30)-アシナ沢出合(9:20)-千本峰沢出合(10:55)-出トミズキ沢出合(13:10)-大岩沢出合(16:40)
30日:テンバ発(7:30)-本社ノ沢出合(9:20)-御秘所沢出合(12:45)-登山道(16:05)-本山小屋(16:20)
10月1日:飯豊山(9:00)-P(14:30)
地形図:飯豊山
報告者:井谷