三光川 大中入沢大張沢~ワサビ沢

日本海からつづく新潟県新発田市の水田地帯から、たおやかに立ち上がる二王子岳(にのうじだけ)。標高1420mのふるくから農事信仰の対象となった山である。今回は、この山の西面に設けられたninox snow parkを基点に、三光川の源流域を遡行、下降した。

前日は、北陸道黒崎PAで仮眠。早朝、聖籠新発田ICで高速道路をおりて、ninox snow parkスキー場ゲート前に駐車。ゲートからスキーゲレンデ経由で1時間ほど歩いて大中入沢・ワサビ沢出合500m付近で入渓した。

入渓点付近の渓相 かなり増水している

先日までの雨で、集水域から想定する水量とは全くちがう増水ぶりだ。気温20度、薄曇りの沢日和。入渓前にリーダーから、リーダーのうしろ3mほどに、ぴたりとくっついて間隔を空けないで歩くこと。リーダーがどこに足を置くかをしっかり見て自分もそこに足を置くよう言われる。

下流部は滝もゴルジュもなく淡々としている、といいたいところだが、腰までの水流のなか、徒渉を繰り返しながらの遡行となる。ふと顔を上げると前方30mほどを猿の群れが徒渉しているが群れの中の子猿はおっかなびっくりだ。それに比べリーダーの徒渉はさすがに安定している。水流から露出している飛び石をヒョイッと飛ぶが、私はバランスを崩して時々どぼん。とにかくリーダーとの間隔があかないように必死でついていく。

650m付近の二俣は徒渉に夢中で見逃してしまい注意される。1:1の大中入沢・大張沢出合730m付近までに2-3mの滝が5つある。水量が平常ならば何でもない滝なのだろうが、増水しているので、岩の間にからだを潜り込ませたり、小さく巻いたりしながら水流を避けてクリアしていく。この出合で5分休憩。呼吸を整える。

大張沢にはいると850m付近の二俣までに7つほどの2-3m滝は水流で超えていく。1000m二俣までに4mの滝を2本、3m滝を1本超えると、1000m付近の二俣からは傾斜がきつくなり、小滝群をぐいぐいのぼる。5m2条の滝は左岸から取り付き落ち口にトラバースするが、私は左手で壁を抱きおさえながらのバランスがとれず、一段下がってからお助けひもをつかんであがる。

万吉沢を分けてから最初に現れた滝らしい滝(5M)

雪渓が消えたばかりのシラネアオイの群生地、1200m付近で一服。ここで、豪雪地帯で灌木が下を向いている斜面での高巻き時の立ちこみ方の練習をする。

傾斜が緩み一層穏やかな渓相になる

ところどころ、雪が残る沢型をさらに遡行していくと、いきなり10mのスラブ滝が表れる。傾斜が緩くなりはじめた源流域に、「いきなり感」満点の滝だ。雪で押しつぶされて下を向いている木の枝をつかみながら、左壁をリーダーと同じところに足を置いて慎重に登る。その後は沢型のボサの中に、4、5mの滝が3度ほどでてくるが、フリクションとバランスでどうにか攀じると山頂付近の登山道に数分の薮漕きで到達する。

穏やかな渓相の中に現れた12M3段の滝

日本200名山の二王子岳山頂は、天気が回復したこともあってか多くの登山者でにぎわっている。快晴ならば、日本海から飯豊連峰まで360度のすばらしい景色が楽しめるはずだが、薄曇りであいにく眺望はない。ずぶぬれ、ドロドロ、ヘルメット姿の私たちは、登山者の中にあってかなり違和感が。素早く食事をして、登山道を標高差300mほどくだり、ワサビ沢にはいる。地元登山者から、ワサビ沢では天然ワサビが収穫できるときいたので、下降途中で採集。

二王子小屋で昼食

ワサビ沢は、850m付近に15mの滝を懸ける以外は顕著な滝はなく、この滝は右壁を慎重にクライムダウンした。クライムダウンするときに足が接地するまで木の枝を最後まではなさないように注意される。それ以外は、下降向きの穏やかな沢だったと言いたいが、水量が多く、木の枝をつかみながら慎重に下降したが、2、3度バランスを崩し、背中から落ちザックが水没した。

ワサビ沢で唯一の滝と言ってもよい15M滝

水量を増した下流部は、山菜採集者の踏みあとを両岸に探りながら堰堤の真上にある、入渓点の大中入沢・ワサビ沢出合500m付近まで下降し、堰堤脇からは、しっかりした道をスキーゲレンデまで降りた。

下降時のスリップ対策について。私の靴は下降接地時の足裏感覚を期待できないので、どのように滑らずに下りるかが課題だ。

 

遡行図

山行最終日:2013年7月20日
メンバー:長島(L) 土井
山域: 飯豊連峰 加治川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
スキー場ゲート駐車ポイント150m付近(6:45)-大中入沢・ワサビ沢出合500m付近入渓(7:40) -大中入沢・大張沢出合730m付近休憩(09:20―9:25)-二俣1000m付近(10:30) -稜線1410m(12:30)-二王子岳山頂昼食(12:35-13:00)-登山道―油コボシ下1150m付近ワサビ沢下降入渓-ワサビ沢滝850m付近-大中入沢・ワサビ沢出合500m付近(16:15)-駐車ポイント(17:20)
地形図:菅谷・上赤谷・二王子岳
報告者:土井