長走川 モウコ島沢~赤沢

本当は7/2-3で長走川赤沢~モウコ島沢、黒森沢~大清水沢の計画だった。わざわざ休みを取ってきたのだが天気予報は雨である。1日目はなんとか行けそうだが、2日目は降水量が10mm以上となるので遡行は無理かなと思いつつ、現地へ向かう。

計画では1日目の最後に長走川本流を徒渉して林道に上がる予定だが、雨で増水して徒渉できない可能性があるため、ルートを逆にし、朝のうちに本流を徒渉、モウコ島沢遡行~赤沢下降に変更したが、これで正解だった。

阿賀野川沿いの水沢集落から長走川へ続く林道に入る。道はだんだん悪くなり、でこぼこ、段差も多くなる。車の底を削る音や揺れる車体に助手席の私はわーきゃー言っていればよいがドライバーは運転に気を使って疲れるようだ。

上の峠に車を停めて準備を整え、林道を降りていく。時折小雨がぱらつくがまだ空は明るい。途中でサルの群れを何度か見かける。林道の脇にまあまあ太い蕨が生えている。帰りに取ることにし、何箇所かある蕨畑をチェックしながら行く。

長走川本流が見えてきた。案の定、雨で増水している。今日の本流徒渉ができるのか心配だ。遡行予定の赤沢に懸かる橋に差し掛かったところで、リーダーから、ルートを逆にする、との指示が出る。朝のうちに本流が徒渉できればモウコ島沢に入渓。徒渉できなければ、黒森沢へ行くことになる。

さらに30分ほど歩いて、林道終点に到着。釣り人か、車が1台停まっている。焚き火の跡もある。本流を見下ろすとこのあたりは水深が浅く、なんとか渡れそうだ。林道から対岸を覗き込み、モウコ島沢出合を確認する。少し戻って立木のあるところから降りる。

上流に数十メートル歩いて、少し濁っている本流を徒渉する。モウコ島沢の入り口は小さい。ここで突然リーダーから、じゃ、リードして。と言われ、プレッシャーを感じて一気に疲れがやってくる。

気持ちを前向きにして歩き出すと、すぐに2段5m滝が懸かる。左側が登れそうだが、やっぱり登れないかもと思い直し巻こうとすると、リーダーが無言で首を横に振るので、おとなしく左側を登る。

雪渓の残骸を左右に見ながら進むと、2~3mの滝が続く。いずれも倒木を利用したりして越えられる。雨のはずが、少しの間晴れ間ものぞく。左側に大岩がある2m滝を越えると両岸が狭まる。そこを抜けると白い冷気が漂い、崩れたスノーブロックが沢を覆う。ここは長島さん先頭で進み、所々天井が抜けたスノーブリッジは1人ずつ潜り抜ける。

正面に5m直滝が現れる。上部がのっぺりしていて登れないので右から巻こうとすると、リーダーがザックを下ろしてロープを取り出し、滝の右側を空身で登る。上部が難しそうだ。2人分のザックを荷揚げし、私も登るがやはり上部が難しく、アンダーをとった後の左足が踏ん切り付かず、結局ゴボウで上がる。

まだ葉がついた倒木が沢を覆い隠している。それを乗り越え、4m滝を濡れながら登り、ゴーロ滝を越えると、540mの枝沢が右から入る。沢は傾斜が緩み、穏やかになる。

600mの二俣で少し休憩。ゴーロ小滝の連瀑となり、最後の3m滝は左を小さく巻く。

650mで右から小さな流れを合わせると、壁のような8m滝が現れ、手前左の小さなガレ沢から巻き始める。斜面が急でなかなかトラバースできずにいると、後ろから指示が飛び、なんとか灌木があるほうへ上がっていくが、ルート取りが悪いのでトップを交代し、リーダーの後に続く。自分が選ぶルートはとても行けそうに思えないが、リーダーが切りひらくルートは行ける気がするから不思議だ。滝の上まで巻いたが、さらに5mと4m位の滝が続いており、これらも巻いて沢に戻る。

710mの右岸枝沢を過ぎると、太い倒木が立てかかる滝4m。左のミニルンゼのようなところを登って巻く。

3段6m滝は、2段目は水流を登る。少しシャワー。3段目は倒木を利用して登る。

780mの二俣を右に進む。前方に白いものが見えてきた。沢は雪渓で埋まり、白い冷気が漂う。雪渓の上に乗ると右から枝沢が入る。数分歩くと雪渓は終わり、素直に末端から降りることができた。

流れが細くなった3mナメ滝を登ると、詰めの様相となり最後は沢型がほとんどなくなった斜面を登っていくと、やぶ漕ぎなしで903mピーク西側の鞍部に出た。

尾根上は立木があるが割とすっきりしている。ここで昼食。本格的に雨が降り出す。

赤沢に向けて斜面を降りていくとすぐに水が出てくる。源頭部は急傾斜のナメとなっている。灌木を掴んで巻き降りたり、クライムダウンしていく。655mの左岸枝沢を過ぎると、5m滝があり倒木を利用して水線沿いに降りる。右岸から枝沢が2本入ると、2段8m滝があり、右岸から懸垂下降する。

沢は平坦になりスノーブロックが転がっている。水は茶色く濁り、左右から入る枝沢は滝となって流れ込む。

2段10m滝を左岸から懸垂下降し、ゆるやかな沢を降りていくと、500mの二俣。さらに下っていくと、降りられない滝が出てきて、残置ロープがある左岸の斜面を登って巻く。一層雨が強くなり、笑うしかない。このまま尾根で林道のほうへ降りられないか地形図を見てみるが、いい尾根がないので懸垂で沢に戻る。水かさが増して濁った流れを下降していくと、左岸から茶色い濁流が勢いよく流れ込んでいるのが見える。ここから先はさらに増水し、沢床も見えなくなる。

高度計がくるっているので正確な現在地が把握できないが、ここから右岸尾根にエスケープし、702mピークがある尾根から林道に降りることになった。

登り始めると、お腹がすいてパワーが出ない。カロリーメイトを口にするも、なかなか復活せずスローペースでようやく目当ての尾根に乗る。尾根には途中まで踏跡があり、最後に急な斜面を降りていくと林道に出た。そこから赤沢にかかる橋はすぐで、茶色い濁流の赤沢を眺める。これが赤沢の由来かしら?

帰りのお楽しみ、蕨を取って、つづら折りの上り坂を黙々と歩く。ふと、前のほうを見るとうす茶色の物体が道の真ん中に。動かないので木の切り株かなと思っていたら(夕方なので視力が落ちている)突然そいつが走りだしてびっくりした。正体はうさぎ。

車に戻って、薄暗くなった悪い林道を車体の底をこすりながら走る。鹿瀬の赤湯に向かうが終了時間間際で入れず、近くの公園の軒下を借りて一夜を過ごす。

翌日はのんびり下道を走って、那須湯元の北温泉に立ち寄り帰京した。

山行最終日:2017年7月2日
メンバー:長島(L) 高森
山域: 同行者の記録
山行形態: 沢登り
コースタイム:
地形図:蒜場山
報告者:高森