前川 大穴沢・四郎沢

前川下流域の沢で遡行対象に取り上げた数少ない沢のうちの二本が大穴沢と四郎沢である。当初は奥川のたんご沢からアプローチして4本の沢を巡って奥川に戻る計画で、ここ2年くらい予備計画としてストックし続けてきた。今回は軽目の山行にしようと思って前川側の沢だけを繋ぐルートに再編して実施した。

9月7日(晴):

今回もゲート手前のスペースに車を停めた。大穴沢は天神堂沢出合の上流100Mくらいのところに左岸から滝を懸けて本流に注いでいる沢である。天神堂沢出合から本流の河原に下降して出合まで遡行できるかもしれないが、大穴沢出合のやや下流からゴルジュになっていて林道からは良く見えない。下降は険しくなるが、大穴沢出合のほぼ対岸から懸垂2ピッチで本流に降り立った。

出合の滝は10Mで、落口の岩が張り出しているので下から見上げると水流の裏側を見る形になる。かなり際どいが右壁は登れなくもなさそうであり、左壁も頼りないブッシュを掴んで何とか登れそうという感じであるが、安全策をとって巻くことにする。出合のすぐ上流は淵になっている。少し泳げば突破できるが、今回は防水対策が手薄なので右岸をへつって淵を越え、対岸沿いに少し下降したところで左岸の岩棚に取付く。岩棚を登った後は急な木登りで大穴沢右岸の尾根に出た。尾根を先端方向に下降して、出合の滝上で入渓する。出合の滝の上は蛇行した樋状の流れになっていた。

大穴沢の出合に懸る滝10M
出合上流の淵
左側をへつって上流で徒渉した
大穴沢右岸の尾根
出合の滝の上の蛇行した樋状の流れ

出合の立派な滝に反してほとんど滝はなく、ボサが張り出した藪っぽい渓相に苦笑いしたい心境になる。間もなく2M2条を過ぎ、480Mでこの沢最大の枝沢を分けるところには両沢の中央に大岩があって、本流には3Mの滝が懸ている。枝沢から大岩の裏を回り込むと、2Mのゴーロ滝が続いている。小滝を過ぎて、577Mで右岸から入る枝沢に本流とは対照的な美しい簾状の3M滝を見る。770Mを過ぎるまで淡々と沢歩きが続き、左岸に小さな枝沢を分けると沢床に露岩が見られるようになって幾つか小滝が懸る。

入渓直後の大穴沢
この先でボサが煩くなってくる
ボサと倒木が煩い
4M滝

910Mで水流が三方に分かれるとともに湧水で水流が細くなる。右へ進むと一旦水流が涸れるが、窪がほとんどなくなる辺りまで水が流れていた。窪が消えると苔生したスラブに出て、ブッシュ伝いにスラブを登りきると傾斜が緩くなってきて1151Mの三角点から西に派生する枝尾根に出た。

源頭部付近の窪

三角点のピークを巻くように南北に走る尾根にトラバースして、途中キノコを探して東側の広い尾根を少し降ったりしながら1088Mのピーク付近を目指す。小ピーク付近はブナが茂って歩きやすいが、その中間は灌木主体で蔓草が巻き付いたりしていてなかなか進めない。寄り道を含めて約2時間半で1088Mピークに着いた。ピークからわずかに東へ降ったところに比較的平坦でブッシュが少ないところを見つけてツェルトを張った。

トンビマイタケ もう大きくなりすぎてるか・・・?
稜線上にはまだタマゴタケも

 

9月8日(晴):

朝明るくなってくると間もなく飯豊の主脈方面から朝日が差し込んできて一層明るくなる。幕場を撤収して尾根を東へ降って四郎沢への下降点を目指す。

ツェルトを張ったところ

970Mあたりまで降った辺り、コルのやや手前から四郎沢へ向かって下降する。まもなく水が流れる窪に降り立つ。ボサもなく、大穴沢よりすっきりしていると思ったが、次第にボサが張り出してきて似たような渓相になってくる。しかし670M辺りからしばらく伏流してボサも少なくなって歩きやすくなる。

四郎沢への下降ルート
この後次第に藪と化していく

630M付近からは樹林帯となって奥川流域の沢に似た渓相になり、幾つか小滝を懸けている。490Mでは左岸からの枝沢を(1:1)で合わせる。しばらく単調になるが、出合が近くなるとゴルジュとなって小滝が続く。最後は2M2条の滝となって本流に注いでいる。

奥川流域の沢のような樹林帯
3MCS-2M-1×2の連瀑 唯一ロープを使ったところ
出合付近のゴルジュ
前川本流が見えてきた
ゴルジュ内の4M2段樋状の滝

滝の左岸をクライムダウンして本流に降り立ち、10Mくらい上流で本流を徒渉する。四郎沢のちょうど対岸あたりの細い水流の枝沢の滝付近を登って植林帯から林道に出た。

前川
四郎沢の出合に懸る2M2条の滝

道端のきのこや名残の蕨を探しながらゲートに戻った。

今回の沢二本はほとんど藪沢と言ってよく、沢登りの対象としてはとても勧められない。
四郎沢の上流部には二カ所ブルーシートが落ちていた。何らかの目的のために登路として使っている人がいるのかもしれない。

 

遡行図

山行最終日:2019年9月8日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 阿賀野川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
9月7日:実川林道ゲート(8:00)-大穴沢出合の滝の上(9:45)-730M(11:25/40)-910M(12:35)-尾根(13:15)-1088M(15:45)
9月8日:1088M(6:25)-1070Mコル付近(6:50)-実川林道(9:20)-実川林道ゲート(10:30)
地形図:大日岳
報告者:長島