胎内から場所を変えて、福島側の偵察に入る。最初の沢として、奥川で沢登りになりそうな沢の中で、最も前衛に位置する久良谷沢を選び、フキデ沢を遡行し、タンゴ沢を下降することにした。
駐車スペースから来た道を戻って、分岐を弥生集落へ向かう。集落を抜けると未舗装の林道になり、繁茂する草にはあちこちに毛虫が蠢いている。次第に道幅が狭まり、植林帯に入った所で踏跡を外れて沢へ降りた。
しばらくは行けども行けども平凡な流れが続く上に、倒木やブッシュが少し煩い。しかし、ヤスナゴン沢と違い、水は冷たく澄んでいて、魚もいる。それに、山菜も豊富にある。
800Mを過ぎたあたりで、小さな雪渓を越えると、ようやく小滝が懸るようになる。両岸がスラブとなり、小滝2本と3M樋状の滝が懸る。しかし、難しい所は一つもなく、その後、2M簾状、ナメ滝2本と4M滝を越えると、再び穏やかな流れとなる。
長い雪渓を前に、1000Mで遡行予定の枝沢が入り、尾根へと詰めあがった。ブッシュに視界を遮られ、実川の様子を窺うことはできなかったが、密藪でもなく、特に苦労することなくタンゴ沢へ向かう途中の小ピークに至った。
少し尾根が高度を下げ始めたところで、タンゴ沢へ向かって下降する。葉が出そろってないブッシュの隙間から、靄の中に飯豊の主峰が霞んで見えた。山頂付近はまだ、滑れそうなほど白いところがある。細いブッシュを縫って降りていくと、間もなく明瞭な窪に行き当たった。窪を降り始めるとすぐに、雪渓が出てくる。
滝下に雪渓がある3Mの滝は右から巻いて、右の枝沢に入り、右の枝沢に懸る2M滝を巻いて再び元の流れに戻る。
5M滝を下降した後、続く4M、2Mは左からブッシュ帯をトラバースして、懸垂で雪渓上に降りた。しばらく雪渓が続き、2M滝で雪渓が途切れると、そこも左から巻いて、下流の雪渓に乗り移る。
断続する雪渓を、降りたり乗ったりを繰り返し、4M滝を右から巻いて降りると、左から同水量の沢を併せる。さらにすぐ下で、雪渓に埋もれた小さな枝沢を併せる。
この後、800M付近と600M付近に等高線が詰まっているところがある。800M付近の方は少し急なゴーロ帯といった感じで、ゴーロ滝がある程度で期待外れ。間隔をあけて懸る、3M、7Mを巻くと、600M付近には15M3段が懸り、右から巻いて、右からの枝沢へ降りた。
これ以降は河原歩きが続き、(2:3)で左から枝沢を併せると、広く平坦な河原となる。間もなく堰堤が出てきて、左岸寄りを降りると、明瞭な踏跡があり、林道まで続いていた。
林道脇駐車スペース(7:05)-フキデ沢535M付近入渓(7:45)-770M付近(850)-995M左岸枝沢出合(1015)-小ピーク付近(10:35)-タンゴ沢下降開始(11:00)-870M二俣(12:05-12:25)-林道(14:20)-駐車スペース(14:40)