加治川 赤津沢西の沢

7月にはエスケープし、先週は雨に気持ちが萎え、今回3度目の西の沢となる。先週入渓しなかっただけに、今週は雨にも負けず入渓しようという気分に満ちていた。

29日:

加治川治水ダムで、しばらく雨が小降りになるのを待って、入山の支度をしていると、湯の平温泉へ向かう登山道を修復している業者(杉原組)から依頼を受けた蜂の巣駆除の業者の人たちがやってきた。登山道付近に2カ所蜂の巣があって、今回はそのうちのひとつを駆除するらしい。続いて、杉原組の人がやってきて、林道入口のゲートを開けたのに乗じて、ゲートを通過した。

加治川治水ダムを出る頃は小降りになっていたが、自転車を漕いでいるうちに再び本降りになる。点検路分岐に自転車を停める頃も依然として本降りが続いていた。天気予報では回復に向かうと言っていたので、しばらく雨が止んでくるのを待ってから、トンネル入口へ向かった。

増水はしているが、濁りは入っておらず、水量も7月に比べると少ないくらいだ。トンネルを潜って堰堤から入渓する。ゴーロを進み淵を二つ過ぎるとゴルジュとなる。7月には雪渓が架かっていた淵があったところだ。淵に流れ込む2Mヒョングリは、案の定、雪渓に阻まれていた左壁のバンドに乗ってトラバースして越えることができた。しかし、すぐに抉れた右壁の下に釜を持つつるつるの4M滝に阻まれて引き返すことになった。

釜に流れ込む2Mのヒョングリ滝
左のバンドから見下ろす
短いゴルジュだが4M滝に阻まれて引き返す

結局、右岸の枝沢の滝を登って、灌木伝いに悪い高巻きとなり、途中懸垂一回を交えて、滝上のウド畑に降りた。釜を持った2MCSを左から越えると再び狭いゴルジュとなり、20M程進むとやや開けて西の沢と東ノ沢が出合う。

今回も二俣の8M滝を左から斜上して登る

出合に懸る8M末広の滝は、滝の基部にロープを括り付けたザックを置いて、空身で右岸のルンゼから左壁のバンドを伝って落口へトラバースして越え、荷揚げをした。続く3Mも左壁のバンドに乗り、前回灌木にかけたシュリンゲにロープを通して、落口へ渡る。

次の4Mと両壁を割って吹き出すような10M2段は、前回は右岸から巻いたが、左岸からも行けそうなので、今回は左岸から巻くことにした。一見木を伝って簡単に登れそうだったが、木と木の間隔が意外に開いている上に、足元も悪く、見た目以上に悪い取付きだ。足場が安定する辺りまで登ると、ブナ林の縁まで来ていた。10M2段の滝の先には、登れない6Mの滝と、さらにその先にも登れなそうな滝があることが分かっているので、これらの滝もまとめて巻くことにする。この点、左岸の巻きは都合が良い。延々とトラバースを続けて、懸垂15Mで580M付近に降りた。取付きに手間取ったため、この巻きに2時間近く費やしてしまった。

580M付近の渓相

尚もゴルジュは続いているが、落ち込みがある程度で歩が捗る。水は澄み、所々に見られる白い砂が美しいが、多くは岩海苔のような苔が沢床にびっしりついていて、醜いうえによく滑る。やがて短いナメと小釜が交互に現れると、やや開けてきて、下部にトンネル状の隙間を持つ大岩が右手に見える。潜ろうとしたが、上流側を倒木が格子状に塞いでいて、通り抜けることはできなかった。この大岩を回り込み、4Mの滝を越えると、間もなくゴルジュから抜け出して開けてくる。

ゴルジュを抜けると開けたゴーロになる

左岸には草原の台地があり、幕場にできないか偵察してみたが、幕場にするには傾斜があるので、先へ進んだ。その先はゴーロが続き、680M付近に石混じりの砂地を見つけたので、そこを整地して幕場にした。今回は、夕食の支度が面倒なので、調理しなくてよいものにしたかいがあって、薪集めに時間を割くことができ、焚き火もできた。

30日:

明け方から雨が降り始める。今回も雨に濡れてしまった装備をまとめて、5時40分に幕場を後にする。

幕場の先も、しばらく開けたゴーロが続く。

ゴーロが続く渓相

800M付近から次第に谷幅が狭くなってきて、5M、4Mのゴーロ滝を越えていくと、ゴルジュへと導かれる。小滝の連瀑を過ぎると、谷は左に曲がり、左岸には枝沢が滝を懸けて流入している。枝沢の滝のすぐ先に懸る4Mは傾斜が緩く、岩肌の凹凸が多いので問題なく登れるが、次の釜を持った5M滝は、左壁は立っており、右壁はやや寝ているもののつるつるで手ごわそうだ。右壁のやや遠いところから取付き、落口に向かって岩が欠け落ちたような小さな窪みをスタンスにして登った。

釜を持った5M滝

1M滝を過ぎると、今度は巨岩を挟んで2条に水流を落とすやっかいな滝が懸る。流心は右側で、右側には良さそうなホールドはない。左は細い流れのCSで、左壁の外傾バンドが使えそうだ。左壁のバンドに乗り、ちょうどよいところにアンダーのホールドを見つける。左手でアンダーを取り、右手で5mmの灌木を掴んで体制を整えると、右手が落口左側のホールドに届く。CSと壁の間に体を移動し滝頭に這い上がった。

巨岩を挟んだ2条5M

滝を越えると、再び開けたゴーロが広がり、右手にスノーブロックを見る。両岸にイタドリが多く茂っており、所々ボサとなって流れに覆いかぶさっている。赤津山直下からの枝沢、赤津山西の肩からの枝沢を右手に分け、幾つかの小滝を過ぎると、傾斜を増すとともに水流が右へ左へと細分していく。ボサを掻き分けながらの遡行となるが、窪は稜線付近まで続いており、藪漕ぎというほどにはならない。最後は西ノ峰東側のコルに詰め上がった。

8×15 3段のナメ滝
流れが分かれて細くなり早くも詰めにかかるような雰囲気

点検路の踏跡は明瞭だが、だいぶボサが伸びてきている。途中、何か所かに点検路調査のための作業用物資がデポされていた。7月にここを登った時にはなかったので、それ以降に調査の準備を進めているようだ。近々この点検路も刈払され歩きやすくなるかもしれない。約2時間で赤谷林道に出た。

赤谷林道は自転車で降るだけだが、四郎左衛門沢を過ぎた辺りで、自転車に蜂がまとわりついてきた。虻かと思って気にしなかったが、突然頭に止まったかと思うと、鋭い痛みが走った。何で刺してきたのかは分からない。加治川治水ダムの駐車場横の滝で自転車と沢靴の泥を落として、帰路に着いた。

 

遡行図

山行最終日:2015年8月30日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 加治川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
29日:加治川治水ダム(8:30)-点検路分岐(9:20-10:45)-トンネル入口(11:00)-東ノ沢出合(12:45-13:05)-580M付近(15:30)-680M付近幕場(16:00)
30日:680M付近(5:40)-点検路(8:30)-点検路分岐(10:35)-加治川治水ダム(11:20)
地形図:二王子岳・東赤谷・蒜場山
報告者:長島