胎内川 ガッコ沢

2日:

ガッコ沢に架かる橋のやや北側川寄りにあるスペースに車を停める。この橋には「みはらしはし」と書かれている。道の先、南側には胎内第二発電所の管理棟が見える。みはらし橋からガッコ沢を見下ろすと、すぐ先に古い橋が架かっていて、左岸に道跡のようなものが見える。古い橋があるのは、以前から確認できていたが、道跡があるのは気づいていなかった。

みはらし橋の発電所側の袂から道跡に降りて、古い橋まで行ってみる。橋の上流には2Mくらいの滝と、3Mくらいの堰堤が見える。ここから懸垂下降しても、堰堤に阻まれるので、道跡を少し戻ったところにあるルンゼ状のところから左岸の急斜面に取り付く。斜面には立樹も灌木も疎らにしか生えていない。下部は急激に落ち込んでいて沢の流れは見えず、その上もかなりの急斜面だ。足場を安定させながら慎重に50Mほどトラバースして、5Mと30Mの2ピッチの懸垂で沢に降りた。ここまでに1時間を費やしてしまった。

下流部ゴルジュに懸垂下降して入渓

谷底には両岸の壁間いっぱいに水が流れているが、水深は浅く滝もない。下降地点から上流は、幾分広くなっていて、足を置けるところもある。蛇行する谷を少し行くと、高い堰堤が前方を塞いでいる。一瞬、ここから沢を下降して巻きなおさなければならないかもしれないと思ったが、いい具合に右岸から涸れた枝沢が入っており、簡単に右岸から巻くことができた。堤体の右岸側には、鉄製の梯子が埋めつけられている。

堰堤

堰堤を越えるとゴルジュは終わっており、広い草地を縫って穏やかに水流が蛇行している。その光景は、里を流れる小川のようでもある。細い枝沢を左右にいくつも分け、305M付近では左右に比較的水量のある枝沢を分ける。途中小ゴルジュを右からへつって抜けたところで、ナメコが密生する倒木があったので、夕食の分を収穫した。水量は一気に減り、やがて伏流する。

緩い流れが続く

一旦は細々とした水流が現れるが、再度伏流して砂利の小道のような涸沢となる。またナメコがあったが、収穫済みなので写真だけ撮った。390M付近で沢は斜度を上げて左へと向きを変える。正面には広く浅い窪が伸び、窪と沢の間は植林帯の尾根となっている。桂の巨樹があったりして、なかなか落ち着いた雰囲気だ。

左岸の植林帯
ナメコが出た倒木が多い

沢登りらしい雰囲気になってくるが、特にこれといった滝もない。さらに多くのナメコを纏った倒木があったが、ここも素通りする。760M付近で水が涸れると、詰めらしい詰めもなく一本松の山頂付近に達した。

上流部
最後の詰め

一本松はブナの林で、それを囲むように椿が茂り、笹と石楠花が少し混じっている。昼前から雨が降り続けて、ぼろい合羽はほとんどその役目を果たしていない。肌着まで濡れてきて、行動し続ける気も失せてきたので、ガッコ沢左岸の尾根を桂の巨樹があった林の辺りまで下降することにした。

胎内川に架かるぶな平橋付近から一本松まで踏跡を辿って登っている記録があるように、尾根には踏跡がついている。約一時間で目的地に着いた。このままぶな平橋まで行こうと思えば、余裕をもって行けるが、山中で泊まってナメコを夕食の鍋に入れて食べたかったので、テントを設営して久々にのんびりと午後を過ごした。雨は暗くなってきた頃には止み、翌朝までたまにぱらつく程度だった。

3日:

テントを撤収し、胎内川へ向かうため南西側の尾根に登る。尾根上を476Mの小ピークに向かって少し歩いたところから、谷へ向かって下降する。

沢には、滝はないものの落ち葉と倒木が多くて歩き辛い。右から細い流れを併せた後、斜度が緩くなった沢をさらに下降した所で、右岸に見つけた踏跡を辿ると道に出た。道の両側は植林で、道には轍状に二本の窪ができている。恐らく、この植林地で作業する人が使っている道だろう。作業道はぶな平橋の少し北で県道に合流していた。

みはらし橋から見たガッコ沢

 

遡行図

山行最終日:2015年11月3日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 胎内川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
2日:みはらし橋(7:40)-懸垂下降・入渓(8:40)-305M付近(10:30)-390M付近(11:00)-一本松(12:50)-390M付近(13:50)
3日:390M付近(7:05)-南方尾根(7:20)-ぶな平橋付近(8:05)-みはらし橋(8:40)
地形図:角安・えぶり差岳
報告者:長島