鹿ノ俣川 鱒谷沢ムソウ沢

鹿ノ俣橋付近の駐車場車を停めた後、雨が小降りになるのを待っていると、寝不足と運転疲れが出ていつの間にか9時近くになっていた。鹿ノ俣橋付近はスキー場の駐車場だと思うが、数百台分の駐車スペースとなっている。あまり入渓を遅らせると下山時に暗くなってしまうので、幾分小ぶりになったところで、支度をして鹿ノ俣川左岸の林道を歩き始めた。

林道を歩き始めて間もなく鹿ノ俣川を見下ろすと、思った以上の水量だったが、鹿ノ俣発電所を過ぎると小川のような、ある意味予想通りの水量となっていた。通常は発電施設の下流の方が水量が少ないのではと思うが、胎内川からこちらに導水されているのだろか? 右手に鳥居を見ると間もなく林道は川を渡り、そこから少し登っていくと巨大な堰堤の脇に出る。堰堤の上流側は堰止湖となっており、堰堤脇から藪道となる湖畔の林道を5分程歩くと鱒谷沢が注ぎ込むバックウォーター上に橋が架かっている。

林道はさらに湖畔に沿って続いていそうだが、左手にある登山道入口から登山道に入った。登山道を僅かに進むと、鱒谷沢に向かって下降する方向に踏跡が付いており、そこを辿って入渓した。

 

下流部は小滝が続く

入渓点付近は至って穏やかな流れだ。少し進んで沢が右に曲がると小ゴルジュとなるが、滝はない。265Mで左に(1:2)で枝沢を分けると、ようやく落ち込みが出てきて、さらに小ゴルジュに1M、2M、2Mと滝が続く。ゴルジュの出口にも釜を持った2M滝が懸かり、左側を巻気味に越えた。しばらく平坦な流れとなった後、倒木が横たわった落ち込みを2箇所越えると、小滝が二つ懸かり、その先に小ゴルジュを割って滝が三つ続いている。水流に突っ込んでいけば登れなくもなさそうだが、10月下旬の雨の日に積極的に水流突破をする気も起こらないので、巻きのルートを探す。ゴルジュの右側にリッジ状の岩床を挟んで窪がある。そこを辿っていくと、どうやら踏跡のようであり、斜度が緩むところで沢床と合流していた。

屈曲部に懸る10M滝 手前ルンゼから左岸を巻く

315Mと345Mの枝沢を過ぎるまでは特に何もなく、345Mを過ぎてから、二つ並んだ10M滝に足を止められる。本流の滝はなかなか堂々とした滝で、滝上の様子は窺えない。右の滝は枝沢の滝で、上部にはさらに8M滝が続いている。枝沢の滝のさらに手前のルンゼに取り付いてみると、本流の10M滝の上に6Mくらいの滝が続いているのが見えた。ルンゼ上部でブッシュ帯をトラバースして枝沢の8M滝の上に出て、少し降ったところから本流に向けて樹林帯をトラバースした。10M滝の上に続く6M滝の上に出ると、すぐに2M滝が続いているが難なく右側を登れる。

側壁が切り立ってきて、2M滝を越えると6M滝が懸かり、右のリッジ状の壁をガバのホールドとブッシュを頼りに登った。さらに2M滝が続き、これを越えたところで左側が少し開けて枝沢が入っている。

鱒谷沢最大の15M滝 左岸を巻くが結構悪い

本流はゴーロの中に5M滝が懸かっていて、岩伝いに越えるが、次の5M滝は登れずに少し戻って左側を巻いた。さらに5Mと3Mの滝を過ぎると、一旦は平坦な流れになるが、次第に側壁は10Mくらいの垂壁となり、最奥には15Mの直瀑が現われた。基部まで行って見上げたが、かなり難しそうなので、少し戻ったところから、左岸を高巻くことにする。まずは草付に取り付いて、数メートル登ったところでブッシュを掴むが、そこまでが悪い。さらにトラバース気味に斜上して樹林帯に取り付き、ゴルジュを見下ろしながらトラバースを続ける。15M滝の上にはさらに8Mくらいの2段の滝が続いており、これもまとめて巻いて、沢が左にカーブする手前で斜度が緩くなっているところで沢床に戻った。ここにも踏跡らしきものが付いている。

5Mクラスの滝が次々に現れる

沢がカーブすると8M2段と言っていいくらいの間隔で4M滝が二つ続き、下部からは見えなかったが、その上に3M簾状の滝が続いている。これらはすべて右側を登った。さらに二つ滝を越えると左から小さな枝沢が入っており、正面には5M滝が懸かる。右側の草付を少し登ったところから、滝の右壁の草付バンドに乗って落口へトラバースして越えた。5M滝の上部は3Mのナメ滝が続いている。両側から枝沢が入っているところで、5M、6M簾状の滝が続けて懸かる。5Mは左側から簡単に登れ、6M簾状はやや立っていてホールドもやや甘いが水流左際を慎重に登った。次の3M滝は見た目にはぱっとせずみすぼらしいが、ホールドが乏しくいやらしい滝で、少し苦労させられた。結局、右壁の下に立てかかっていた倒木を足場にして、右側のルンゼの段差に乗り上げて、小さなホールドを拾って落口へトラバースした。ここまで来るとだいぶ沢形が浅くなったことが感じられる。

上流部簾状Y字状8M滝

5M、5M2条2段、2M簾状と簡単な滝を越えていくと、水流がY字形に流れ落ちる簾状の8M滝が懸かる。幾分逆層だが、段差が付いている左側を側壁の草の中に隠れたホールドも拾いつつ登った。小滝を三つほど越えると次第に急峻なガレとなり、終盤は突っ張りを交えながらじわじわ登るような急峻なルンゼとなって、最後はブッシュ帯に消える。ブッシュ帯に取り付いてから数分間の木登りの後に登山道に出た。風倉山からわずかに北へ降ったところだった。晴れていれば胎内川を見下ろせたであろう位置であるが、小雨を降らせていた雲に覆われて何も見えなかった。

登山道に詰め上がった後風倉山を経由して下山

山頂にも留まることなく、人気のない登山道を一気に下り、1時間15分で登山口に戻った。林道では何箇所かでヤマイモのむかごをとりながら歩いて、暗くなりかけてきた頃に鹿ノ俣橋の駐車場に戻った。むかごはこの日の晩に芋煮に入れて食べたが、サトイモより香りとコクがあって美味であった。塩茹でにして酒の肴にするともっとよさそうだ。

 

遡行図

山行最終日:2013年10月26日
メンバー:長島
山域: 飯豊連峰 胎内川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
鹿ノ俣橋(9:15)-鹿ノ俣発電所(9:35)-登山口(10:15)-313M分岐(11:10)-稜線(14:35)-登山口(15:55)-鹿ノ俣橋(17:00)
地形図:えぶり差岳
報告者:長島