一ノ戸川 大白布沢御沢

7月9日は前夜から雨が降り続き、予定していた二ツ倉沢下降又八沢遡行の計画をキャンセル。今年最初の加治川流域ということもあり、様子見に湯の平温泉まで赤谷林道と登山道を往復した。下山後、転進先を検討して、以前から気になっていたところで、かつ日帰り可能な短い沢という条件に当てはまった御沢を遡行することにした。

大白布沢流域は二週間前にも来たばかりなので、まだ記憶に新しい。キャンプ場に車を停めて、遊歩道を歩く。遊歩道は、堰堤を越えた後、河原を横切り右岸を大きく巻き始める。一旦沢に降りると、今度は左岸で高度を上げていく。やがて足下に長滝が見えてくる。斜瀑だが大きくて迫力のある滝だ。この辺りまでは、かなりしっかりした道だが、この先はやや不明瞭なところも出てくる。谷が右に曲がると、河原に降りて、一旦枝沢に入ってから右岸に高度を上げて大滝の基部に出る。

遊歩道から見下ろした長滝
基部から見上げた大滝

大滝は25Mの直瀑で、基部に飛沫を舞い上がらせる豪瀑である。しばし迫力に息を飲み、右岸のブッシュ帯を巻いて落口に出たが、途中棘のある草に少し手を焼いた。かつて下モグラ沢を訪れたことがあるので、出合までは遡行しているはずだが、全く記憶にない。

大滝の落口

大滝上には右壁に押し付けられるように流れ落ちる4M滝が懸る。この滝を越えると、しばらく平凡な河原が続き、正面に急峻な枝沢が真っ直ぐに稜線に向かっている光景が眺められる。この枝沢の出合まで来ると、本流はほぼ直角に右に折れて、幅3Mくらいの真っ直ぐなゴルジュが続いている。

長坂峰へ向かってまっすぐ伸びる枝沢
本流は直角に曲がってゴルジュとなる

50Mくらい進むとさらに右に折れ、見通せる末端の壁の直下に釜があり、左壁に2Mの滝が懸っている。左壁にとりつき落口の水流中のホールドに手をかけて登ると、すぐに5M滝が続く。階段状の左壁を斜上して、ブッシュ際をトラバースするように落口に出た。すぐに小釜を持つ4M滝が続き、フリクションを効かせて左壁を登る。この沢はすっきりした花崗岩の滝が多いようだ。

花崗岩のすっきりした滝が続く

河原となって左に曲がり、深くて大きな釜をへつって2Mナメ滝を過ぎると、12M滝が左壁に沿うように水流を落としている。右壁にスタンスが適当な間隔で見られる。少しホールドのとり方とムーブに工夫が必要だが、難しくはない。落口付近の木に古いシュリンゲが巻き付いていた。

12M滝

間髪入れずに8M3条の滝に迎えられる。見事に3条に分かれて落ちる優美な姿で、基部は深い釜となり、斜上バンド状の左壁が釜を抱え込むように張り出している。ここを過ぎると、しばらく河原が続く。

8M3条の滝

上部にナメが続く8M滝を右から越えると、谷は右に屈曲する。狭いV字谷で、両岸は草付となる。小滝を越えながら、右へカーブしていくと、右から中間部にCSを抱いたチムニー状の滝の枝沢が入り、そこから僅かで下モグラ沢が(3:1)の水量で出合っている。

8M滝上部に続くナメ

下モグラ沢出合から、御沢の谷はほぼ真っ直ぐに伸びている。谷の真正面に大岩が鎮座し、その右側に4M滝が懸る。大岩の左はゴーロが続いているので、難なく通過する。沢身はゴーロ状だが、20M程の雪渓が現れ、下を潜る。雪渓を抜けると、すぐに次の雪渓が架かり、上流側が崩壊しているので、ブロックに乗り移りながら通過すると、ブロックが途切れたところに、右壁沿いに8Mの直瀑が懸る。階段状に張り出した左壁を登ると、左岸から15Mの幅広の滝を懸けて枝沢が入っている。

下モグラ沢出合の上流
雪渓を潜る
8M滝

両岸ともに10Mくらい切り立ったゴルジュになり、ゴーロ状7M滝を登ると、今度はかなり長い雪渓が口を開けている。下を潜り、30Mくらい行ったところで、左岸から流入する枝沢の滝を登って、そこから100Mくらい雪渓上を歩く。末端の手前30Mあたりで左岸に取付き、再び雪渓の下に降りる。中間部に崩落したブロックが重なっており、水面から50cm位のところを潜ってみるが、小滝が懸っており、ちょうど登れそうなところに雪渓の基部があって越えられずに、引き返す。右岸寄りのブロックの上を越えると出口が近い。左壁を少し登ってみるが、上部が悪いので引き返し、出口を塞ぐ2M滝のCSと左壁の間をショルダーでこじあがった。狭いゴルジュにスノーブロックと2M程度の小滝が続き、最後に4M滝が懸るが、斜度が落ちつつある左壁を斜上してゴルジュを抜けた。

7Mゴーロ滝
7Mゴーロ滝上の長い雪渓

谷は開けて、緊張から解放される。小滝を過ぎ、6M滝を右岸の草付バンドから越えると、再び雪渓が口を開けている。しかしこの雪渓は疣岩山に突き上げる左俣に架かるもので、本流は雪渓の手前で右に屈曲していた。

疣岩山に向かって突き上げる枝沢の雪渓

小滝が続き、ナメの連瀑帯となる。明るくて快適である。樋状の滝を突っ張りで越え、幾つか小滝を過ぎると、またゴルジュになる。短いスノーブリッジを潜り、崩落後のブロックをすり抜けると、出口が見えない真っ暗な雪渓が架かっている。右側の枝沢を登って草付をトラバースして雪渓に乗り、末端付近まで上を歩く。左岸から谷に降りて、簾状の小滝を登った所で、ランチタイムにした。

開けた渓相に変わり懸る滝も斜瀑が多くなる

5M前後の4つの滝を過ぎると、流れは二手に分かれる。右は6M簾状の滝を懸け、左は平凡な渓相、水量はやや左の方が多い。実際はここを右へ行った方が良かったようだが、転進してきたため、手元には5万分の1のエリアマップしかなく、正確な位置把握ができなかったので、稜線に近そうな左へ進んだ。

流れが二手に分かれる

左沢は、小滝がある程度で、何度か水流を分けて、藪へと消えた。急峻な藪の斜面を登って、斜度が緩んでくると、疣岩山と三国岳の間の登山道に出た。藪斜面の開けたところには、ニッコウキスゲが咲いていたが、稜線上にはヒメサユリがしおれて花期の終わりを告げていた。

登山道に出た 三国小屋を経て長坂からキャンプ場に降った。

 

同行者の記録

遡行図

山行最終日:2016年7月10日
メンバー:長島(L) 高森
山域: 飯豊連峰 阿賀野川
山行形態: 沢登り
コースタイム:
川入キャンプ場(7:30)-大滝上(8:45)-下モグラ沢出合(9:30)-1200M二俣(11:30)-登山道(13:40)-川入キャンプ場(16:00)
地形図:大日岳・川入
報告者:長島